シーケンスという言葉は厳密には正しくないかもしれませんが。
最近ではRS-232Cも衰退の一途をたどっています。
が、完全に絶滅するまでには、まだ当分かかるでしょう。
ということで、たまにはちょっと技術的なお話。
記憶で書いている部分も多いので、間違いに気付かれた方がおられたら、レスを
つけてください。
まず、ハードウェア的には、送信側の最大電圧は絶対値で25V以下、電流は500mA
以下となっています。ただ、これは何も信号を送信していないときの話で、信号
送信時には5〜15Vとするようです。
一方、受信側は、データ用の信号線では-3V以下を"1"(ON)、+3V以上を"0"(OFF)と
認識します。ところが、RS-232Cにはデータ信号以外の制御用の信号線もあります
が、こちらの方は、+3V以上を"1"(ON)、それ未満を"0"(OFF)と認識するようにな
っています。
さて、データ用の信号線は、コンピュータからモデム等の方向へ送信するSDと、
逆にモデム等からコンピュータへ送信するRDという線があります。これらについ
ては、自明というか、あまり詳しく解説することはありません。
今回の主要なテーマは、その他の制御用の信号線の方です。
制御用の信号線としてよく使われるものに、以下のものがあります。
JIS名称 通称 方向
CD DCD PC←モデム
CI RI PC←モデム
ER DTR PC→モデム
DR DSR PC←モデム
RS RTS PC→モデム
CS CST PC←モデム
CDは、モデムから見てPCの反対側、すなわち電話回線側の相手のモデムとの間
で接続が確立した場合に、それをPCに通知するための信号線です。正確には、
相手のモデムがキャリア信号(ピ〜ギャ〜の音)を出しているかどうかの通知線
です。なので、電話回線はつながっているけれども、両方のモデムが待機状態に
なって無音だったりすると、この信号線はOFFのままです。
モデムによっては、相手からキャリア信号を受けていなくても、強制的にCDをON
にするという設定ができるものがあります。こうすることにより、CDがONになる
ことを待つようなソフトを使うような時であっても、PCがいつまでも待ってし
まってハングアップ、というようなことを避ける事ができます。
CIは、モデムが回線側からの着信を受けたことをPCに通知するための信号線で
す。つまり、CIがONでCDがOFF、という状況になることは少ないはずです。
ER、DR、RS、CSの4つは、まさにシーケンスと呼ぶような動きになります。
通常、PCがデータを送信する場合には、まずERをONにします。
これは、端末側の準備完了を意味します。
これを受けて、次にモデム側がDRをONにします。
これは、モデム側の準備完了を意味します。
回線側からの着信を受けた場合は、ERとDRの順序が逆になるはずです。
また、たとえば回線が接続されていない時、つまりモデムに対して設定を行うと
かコマンドを送るといった時にも、ここまでのシーケンスは必要になります。
きちんと回線が接続されていて、通信の相手方に対してデータを送りたいとなる
と、今度はPCはRSをONにします。これは、モデムに対し、相手に対してデータ
の送信を開始することを指示する信号です。
これを受けたモデムは、きちんと回線がつながっていれば、送信状態になったと
いう事をPCに通知するためにCSをONにします。
このあと、やっとPCはモデムに対して、つまりRS-232Cのデータ線に対してデー
タの送出を開始します。特に、一部の古いパソコンでは、内部で使っているIC
の関係で、CSがONでないとデータの送信ができない機種があったりします。
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