最近、世界的に、カミュの「ペスト」が読まれているようですな。
あいにく、私は読んだことがありません。
合わせて、デフォーの「ペスト」も読んでみたいとは思っているのですがね。
日本で有名な伝染病を扱った作品としては、小松左京の「復活の日」があって、
これは私も読んだことがあります。この小説、良くも悪くも小松左京といいます
か、小説としてはそんなに悪くないと思いますが、1960年代のSFなんで、
どうしても古さを感じてしまうのです。書かれたのがもっと古い「ペスト」の方
は不条理小説ということになっているようなんで、そんなに問題にはならないと
思いますが、「復活の日」の方は一応、SFということになっているわけでして、
すると例えば、ベルヌの「月世界へ行く」を、アポロ以後の人間が読んだような
感じとでもいいましょうか。
ところで、3年か5年くらい前に読んだ、どこかのブログに書かれていた文章が
面白かったのですが、検索しても見つからない。yahooかどこかの、サービス停止
したブログに書かれていたのか、それとも作者が削除したのか。
物量としては、短編小説よりはやや短い、ショートショートとしてはやや長い、
といった感じのものだったように覚えています。
書かれたのは、10年ぐらい前でしょうか。
当時、新型のインフルエンザがはやったことがありましたよね。
そのときに書かれたものだったと思います。
筆者の方も「復活の日」が古臭く感じられたようで、「復活の日」のような状況
が21世紀の現代に発生したら医学界やWHOがどのように動くか、ということ
を、割と当時の現実に即して描いていたのです。
そこそこ文章力もある方でしたし、リアリティという面では非常に面白く読んだ
のですけどね。読み返してみようと思ったのですが、見つからなくて残念。
検索しても見つからないという点で言うと、もう一つ。
昔、癌が流行するという小説を読んだことがあります。
確か1980年代の、アメリカの小説だったと思います。
ハヤカワ文庫のSFだったと思ったのですが、そもそもSFではないから検索に
引っかからないのかなぁ。
この作品では、癌の流行の原因は病原体ではなく、ある化学物質でした。だけど、
ココム規制に引っかかるためにこの物質は共産圏には輸出されておらず、結果、
ソ連では癌が流行しません。そのため、これはソ連の陰謀だ、みたいに思い込む
偉い人が出てきたりするわけですよ。
これもちょっと古臭い作品ですが、病気が大流行した場合のアメリカでの庶民の
反応とか医療の現場の動きとかが書かれていたような記憶があって、これもまた
読み返してみたい作品なんですけどねぇ。
病気ではないけど、流行の広がりとか偉い人の陰謀といった点で言うと、日本の
映画「ブルークリスマス」が印象に残っています。
これ、テレビで見たのは、確か中学生のころだったか高校生のころだったか。
ちょっとえっちぃシーンもありましたけどね。
今、検索してみたら、監督は岡本喜八で、脚本は倉本聰なんですね。
そりゃぁ、そこそこ水準の高い作品だわさ。
いかにも邦画、という感じの部分は私には合いませんでしたがね。
映画として見直してみたいとは思っていませんが、ノベライズというか、小説で
読んでみたい作品の一つではあります。
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